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第3話 悪魔を祓う者

last update publish date: 2025-12-12 11:48:30

この世界には悪魔がいました。

悪魔は夜にしか活動出来ないが生まれつき力が強く、人の心臓または目を好んで毎晩人を襲いました。

そんなある日1人の男が悪魔をこらしめました。

その男はこの国の王子様…否

この世で一番、悪魔に近くそして心無い男だった。

「…!はぁ…はぁ……何、今の夢。」

確か小さい頃読んでた絵本の内容だったけどすごく怖かったような…

「おはよぅ…」

「おはようミーナ。もう体大丈夫なの?」

「体?そういえば私、気絶してしまったんだね。全然覚えてないな」

昨日玄関前で気絶してからミーナの母親はミーナを家の中まで運びベットに寝かせたのだった。

一度目を覚ましたが疲れがたまっていたのかすぐに寝てしまったらしい。

ミーナは朝起きてから学校に行く準備をし、朝ごはんを食べ家を出た。

「行ってきます…」

「行ってらっしゃい。…どうしたのミーナ?元気ないわよ?」

「そ、そんなことないよ!じゃ、行ってきまーす!」

ミーナは昨日殺された友達は絶対来ないものだと思うと不安で仕方なかった。

まだ17歳のミーナには辛くそして悲しい現実だった。

学校に着いてクラスに行っても案の定友達の席には誰も座っていない。

やっぱりあの時…

キーンコーンカーンコーン

「はーい、じゃあ席につきなさーい」

私がカバンから教科書を机に移してるとタイミングよくチャイムがなりそれと同時に担任の先生が入ってくる。

「はい、それでは朝のホームルームから始めたいと思うのですが…その前に皆さんに大切な話があります。」

すると先生の顔がいかにも深刻そうな顔に変わった。

きっと友達の事だろうなぁ。

「…実は今日3人ほど学校に来ていませんが昨夜その親御さんから行方不明の連絡がありました。」

やっぱりシェスカ達の事だったんだ…

ミーナはそう思うととても心が痛かった。

別にミーナが悪いわけではないが自分だけが生き延びて学校に来てるのはおかしいと思ったからです。

「確かシェスカさん達はミーナとよく一緒にいましたが…何か心当たりはありますか?」

「……」

「ミーナ…さん?」

「実は…シェスカ達は…」

ガラッ

ミーナが言おうとした時、急に教室の扉が開いた。

扉を開けた人物にミーナは目を疑った。

それは昨日目の前で殺されたはずの…

「…!シェスカ!エミー!イルミ!…え、どうして…」

「ごめんね、ミーナ。ちょっと寝坊しちゃった。」

「先生ごめんなさーい!」

「とりあえず遅刻届出したんで座っても大丈夫ですかー?」

「全く三人とも…後で職員室まで来なさいよ!」

「「「はーーい!」」」

そう言って三人は自分たちの席に座りカバンの中から教科書類を移し始めた。

ミーナは三人が生きていた事に嬉しくて泣いていた。

良かった…本当に良かった…。あの時死んだと思ってた…。

「はい、ミーナさん!何があったのか分かりませんが泣かないの!

はい、ホームルームを始めるわよ!」

そう言って先生は5分ほどホームルームをして教室を出た。

ミーナは早く三人と喋りたくて終わってすぐに三人の机の近くまで来た。

「よかったぁー!三人とも無事で。シェスカ胸大丈夫なの?」

「え…ま、まぁ何とか大丈夫だったみたい。」

「エミーもイルミも大丈夫?」

「わ、私はほら。そんなすぐ死ぬ奴じゃないでしょ?あははは」

「運が良かったっていうか…何ていうんだろ?…まあそんな事いいじゃない!」

「なんかみんなよそよそしぃ!ねえねえ、今日もいつものとこに遊びにいこーよ!」

「遊ぶ?…あー、いつものとこね!分かったわ!」

「やったぁー!あ、その前にちょっと私トイレ行ってくるー!」

ミーナがトイレに行くと同時にチャイムがなり、ミーナはヤバイと言いながら走ってトイレに行った。

チャイムがなったことでクラスの生徒達がミーナ以外全員戻ってきた。

そして最初の授業の先生が入ってきて主席名簿を取り出した。

「ミーナはトイレか。しょうがない…。じゃああいつ抜きで出席確認をするから返事しろよ。」

先生はそれぞれの名前を読み始め、名前を呼ばれた生徒はそれに対して返事をする。

「……ニヤァ…」

「…そろそろだな。」

「お腹すいたぁー…」

授業が始まってからすぐに、シェスカとエミーとイルミが急に席を立ったので生徒達と先生は三人に注目した。

「おい、お前ら何立ってんだ!早く座らんか!」

「……」

「……」

「…ニヤァ」

嬉しい。

あの三人が生きて学校に戻ってきてくれて本当に良かった。

これでまたいつものように楽しく学校で…

ミーナはお手洗いを済ませて手を洗い鼻歌を歌いながら教室に戻った。

教室につくと授業中のはずなのにドアが開いてた。

あれ?なんで開いてるんだろ?

…まっ、いっか!

「先生!遅れてすいませんでし…」

「きゃぁぁあ!!!」

そこにはミーナがトイレに行ってた3分くらいの間人の血で染まっていた。

「みんな…みんな!何があったの!ねぇ?…先生!」

みんなに声をかけるが誰1人返事を返さない。

生徒達のほとんどは体の原型をとどめられないくらい八つ裂きにされていて、先生に関しては目と心臓部分を抜き取られていた。

「目と心臓が…ない……うっ…ハァ、ハァ…」

先生の死体を見てミーナは思い出した。

こんな殺し方普通の人間には出来ない。それにシェスカ達だけいないみたい。これは…

ピーンポーンパーンポーン

すると突然学校のアナウンスがなった。

「全校生徒の皆さんに伝えます!

今すぐ学校から逃げてくださ…グシャ!」

アナウンスの人は言い終わる直前に何かあったようだ。

するとこの階の端から叫び声が聞こえる。

「きゃぁぁ!」「助けてー!」

グシャァ!!!

「ひっ…ひっ…」

ミーナは今度は自分の番だと思い、学校の外を目指して走った。

(殺される!逃げなきゃ殺される!)

「どこ行くの?ミーナ?」

するとその前にはさっき教室にいなかったシェスカが手を後ろに組んで立っていた。

「…シェスカ……」

「どこ行くのミーナ?」

シェスカは腕を後ろに組んだまま笑顔でこっちに近づいてくる。

まるで腕を隠しているようだった。

「どうしたの、ミーナ?なんでそんなに汗かいてるの?」

「…あなた、誰?」

「え、シェスカよ?急にどうしたの?」

「違う!あなた…いや、他の二人も…あなた達一体、何者なの?」

「……」

「答えて!本物のシェスカは…エミーやイルミはどこ行ったの!?ねぇ!」

ミーナの問に答えようとしないシェスカ。

するとシェスカの後ろから声が聞こえた。

「あー、おいしかった…ジュルッ…」

「お腹もだいぶ落ち着いたって感じ♪」

「エミー!イルミ!…その手はもしかして…」

後ろから現れたエミーとイルミの手は人の血で真っ赤になっていて、エミーは血の付いた手をおいしそうに舐めていた。

「あれ、あんなところに餌(人間)が残ってるー!」

「ほんとだ!シェスカ、食べてもいいよね?」

するとさっきまで黙っていたシェスカはニヤリと笑い、そして。

「…あぁ、いいでしょう…。血の一滴残さずにね。」

「シェスカ…エミー…イルミ…。やっぱりあなた達…」

「悪いわね、ミーナ。私たちはもう人ではないの。だから正直あなたの事なんてどうでもいいから…死んで?」

「うっ…うっ…」

ミーナは絶望のあまりその場に立ち崩れてしまった。

まさか自分の友達が悪魔になってしかも学校の人たちを殺しているのだから。

(悪魔は…死んだ人間にまで絶望を与えるの?…シェスカ達がそんな事思うわけない。)

「あははは!安心して!私が食べてあげるからぁ~!!」

エミーが最後に言うとエミーの体が昨日の化け物のような姿に変わりミーナを襲った。

グシャァァ!!

「!?ガァァぁぁああ!!」

「…あれ?私死んで…」

襲われたミーナは無傷で代わりに襲ってきた悪魔のエミーが胸を大剣で刺されていた。

「…何者だ、貴様!」

そこには昨日ミーナを助けた黒いローブの男が大剣を持って立っていた。

「あ、あなたは昨日の…」

「…こんな時間に活動する悪魔がいるとは…」

あの時は夜だったため顔がよく分からなかったが今はローブについてるフードを被っていて顔が見えなかった。

するとさっきまで胸を刺されてもがいてたエミーは次第に胸の傷が再生して立ち上がり、ローブの男を睨みつけた。

「殺してやる!殺して…コロシテ…ヤル!」

するとエミーの身体はさっきよりも化け物みたいな姿に変わっていった。

その姿は例えるなら悪魔というより二本足で立っている狼のようだった。

そしてエミーは一瞬で男に迫り、爪を連続で繰り出した。

しかし、ローブの男はその攻撃を息一つ切らすことなく全て大剣で防いだ。

「エグッテヤル!…エグル…エグル!!」

エミーが激しく攻撃してもローブの男にダメージを与えることはできず、これ以上やってもラチがあかないローブの男はエミーを大剣で吹き飛ばした。

吹き飛ばしたその隙に左手で空間に穴を空けて、ローブの男はその穴をくぐり抜けその場から消えた。

「…ドコダ…ドコイッタ…。出テ来イ!…エグッテヤr…ガハァ!」

突然エミーの背後から現れたローブの男は隙だらけのエミーの背後を大剣で縦に切りつけ、エミーは血を吐きながらその場に倒れてしまった。

「エミーーー!!!」

悪魔の姿になっても友達だったエミーを2度も殺される所をミーナは涙をボロボロ流しながらそれを見るしか出来なかった。

「頭の悪い悪魔はやり易い。…次はどっちだ…かかってこい。」

「てめぇ!エミーをよくもっ!」

「やめな、イルミ。仲間を殺されて悲しむなど愚かな人間のやることだ。」

今度はイルミが姿を変えようとしていたが、シェスカはそれを止める。

そしてシェスカはローブの男に質問した。

「貴様は何者だ?その魔力からして人間ではないのは確かだが悪魔でもないな。」

するとローブの男は大剣を下ろすと被っていたフードを脱ぎながら答える。

「…お前らのように人を喰らう存在がいれば、その悪魔を喰らう存在もいる。」

「悪魔を…喰らう存在?」

フードを脱ぐと男の髪と瞳は炎のように真っ赤に染まっていた。

「俺は貴様ら悪魔を食い殺すために自ら悪魔と取引し、力を手に入れた。名はない。だが周りは俺をこう呼ぶ。」

「紅の悪魔祓い、グレン。」

そう言うとグレンと名乗った男は着ていたローブを脱ぎ捨て、大剣を構えた。

「紅の…悪魔祓い…なるほど、通りでエミーを一瞬で殺せたのか。しかし悪魔祓いが本当にいるとはな。」

(しかし、悪魔祓いの奴がなぜここに?それになぜ他の生徒は助けずにミーナだけを助けるんだ?)

シェスカが考えているとグレンは大剣を構えて迫ってきた。

それをイルミが爪で防御し大剣を止めた。

「いきなりシェスカはないでしょ?悪魔祓い…さん!!」

イルミは最後の語尾だけ強く言い、大剣をはじいた。

「あははは!エミーを殺したからって調子乗らないでね!今からあなたを綺麗に串刺しにしてやるから!」

するとイルミの両手の爪はゴムのように伸び縮みし、伸びた爪でグレンを襲う。

グレンはローブを脱いだのか動きが早くなり、余裕の表情で大剣を使って防ぐ。

「余裕ぶってんのも今の内よ!ほらっ!」

イルミが言うと一本の爪が大剣を滑るようにかわし、そのままグレンの腕をかすった。

他の爪も同様、次第に大剣を滑るようにかわしてかすり出す。

「ほらほらぁ~!どんどん当たってきてるわよぉ?疲れちゃったの?」

グレンはまるで軟体動物の触手みたいにグニャグニャする爪に苦戦していた。

グレンは左横に空間の穴を空けて再びイルミの背後を狙おうとした。

だが、動きを読まれていたのかイルミは伸びた爪を引っ張ってきて防ぐ。

「残ねぇ~ん!さっきの見て思ったんだけどあんた相手の背後狙うの好きだねぇ?」

イルミは伸び縮みを利用して横に爪を振りきった。

グレンはとっさに空間移動したが右腕だけ少し切り傷が入り、そこから血が流れていた。

「あらら~、痛そうね。てかさ、いい加減本気出したら?」

「…」

「とぼけないで。悪魔と取引きしたのにそんな弱いわけないでしょ?それとも本気の出し方を知らないの?」

イルミが言うとグレンは一回ため息をつき、そして。

「…いいだろう。少しだけ本気を出す。だが、これだけは言っておく…」

そしてグレンの立ってるところから黒い魔法陣が現れるとそこから黒い炎が発生し、その炎はグレンの身体を纏う。

「…どうなっても知らないからな…。」

グレンは黒炎を大剣に纏い、再び構えた。

「へー、さっきよりも魔力は上がったみたいね。けど炎じゃ私を倒せないわよ!」

イルミは爪を伸ばしてグレンを襲い、グレンはさっきと同じようにそれを大剣で防ごうとした。

「あははは!あなた学習能力ないわね!八つ裂きにされなさ…」

「イルミ!離れなさい!」

「えっ…きゃぁあああ!!」

イルミの爪は大剣に触れるとそこから黒炎が勢いよく燃え移り、イルミの身体を燃やした。

そしてグレンは空間移動を使ってイルミの近くまで移動し、黒炎を纏った大剣で縦に切りつけた。

グシャァッ!!

「ガァッ…!ガッ…」

「悪魔の炎は相手がチリになるまで燃え続ける漆黒の炎。お前が消えるまで炎は消えない。…これが悪魔と取引して手に入れた力だ。」

「ガァッ…ァ…ァ………」

イルミは次第に声が聞こえなくなり、そのまま黒炎によってチリになって消えてしまった。

「イル…ミ…うぐっ…」

イルミまで目の前で殺されてミーナは言葉が出なかった。

「最後はお前か…銀髪の女……いや、悪魔だな。」

グレンは大剣でシェスカを指す。

シェスカは黒炎によってチリとなったイルミを見ても表情を変えることはなく、寧ろ口角を吊り上げて不敵に笑った。

そして身体を化け物に変異し視線をグレンに向けて言った。

「あなた何か勘違いしてない?確かにあなたは強いわ、人間にしてはね。けどあなたは私には勝てない。そう、そんな悪魔の力を借りた程度じゃワタシニハ…カナワ…ナイ!…グルルルッ!」

シェスカは言葉を発するに連れて理性を保てずに獣のような唸り声を出していき、グレンを獲物と認識したかのように睨んだ。

そして一気に襲いかかり、右手の爪を上から思い切りグレンに振り下ろした。

グレンは空間移動の魔法で一瞬でその場からいなくなると一瞬でシェスカの背後に現れて横に斬る構えをとった。

しかし、シェスカはそれに気づいてたらしくすぐに判断して爪で大剣を防いだ。

そして剣ごとグレンを後方に押し飛ばした。

「オナジ…マホウ…キカナイ。グルルルッ…」

飛ばされたグレンは廊下の一番端の壁に背中から直撃し、血を吐いて片膝をついた。

「ガッ…ぐ…っぺっ!…」

「マ…ダ…マ…ダ…」

グレンが立ち上がろうとした直後、目の前には爪を引っ込めた状態で接近してきたシェスカは手を拳に変え、グレンを殴りまくった。

グレンは避けることができず只々その攻撃を受けていた。

…いや、この時は受けているように見えた。

容赦なく殴り続けるシェスカ。

通常、悪魔に1発でも殴られた人間は全身の骨が粉砕し再起不能の状態になるほど筋力が特化している。

グレンはその何倍も殴られた。

普通の人間ならまず生きることはできない。

ひとしきり殴ったシェスカは悪魔の姿から人間の姿に戻り、理性の失ってた声は落ち着きを取り戻した。

「まあ、こんだけ殴ったら普通死ぬわね。…さて、そろそろ食べさせてもらうわよ?ミーナ?」

ジュルリとヨダレの音を立て、爪を伸ばしてミーナに近づく。

ミーナは恐怖で怯え立ち上がることができず腰をつけたまま後ずさりしていく。

「あーらあら。人間って本当に愚かね。さっさと殺されたら楽になれるのにね。こいつみたいにさっさと楽になれば…」

シェスカが後ろにいたグレンを指差そうとした時、その指は急に捕まれそのまま関節の曲がらない方向にねじ曲げられた。

「ガァァァァ!!っ…なんで倒れてないの!?普通の人間なら死んでるはず…」

「普通の人間なら…だろ?」

シェスカの指をねじ曲げたのはまるでさっきのダメージを受けてないかのように涼しい顔をしたグレン。

ねじ曲げて取ったシェスカの指を黒炎を発生させてチリにした。

「なぜダメージを受けてないんだ…そんな顔してるな、クソ悪魔。」

「反(リバース)魔法ー、相手から受けた物理攻撃を吸収し自分の力に変換する。そして…」

拳を強く握りしめ、足を一歩前に出すとシェスカは反射的に一歩後ろに下がった。

「俺はお前と全力で戦ってない。」

そう言ってグレンは魔法を纏っていない右拳をシェスカの腹にぶち込んだ。

反魔法によってダメージを吸収したことによって魔法を纏ってないのにも関わらず拳から衝撃が発生しシェスカの腹はえぐれ内臓が飛び散る。

あまりの痛みにシェスカは意図せずに悪魔に変異してもがき苦しんだ。

「がっ…ガァァァァァァア!!!ああ…ァあ…」

悪魔か人間かどちらかわからない状態でもがき苦しむシェスカ。

そんなシェスカをグレンは一旦その辺に置いていた大剣を再び持って剣先でシェスカを指した。

「お前に人間として生きる道はない。とっとと死にやがれ」

剣を振り上げてシェスカの息の根を止めようとするグレン。

「やめてーー!!!」

剣を振り下ろそうとした瞬間、ミーナの叫び声によって剣の動きが止まる。

「邪魔するな、女。こいつは悪魔、殺さなければこっちが殺される。」

「分かってる…分かってるわよ、そんなこと!分かってる…。でも…その悪魔…シェスカは私の友達。どんな姿になっても…友達…友達だから!だから…シェスカを…助け…」

ミーナは涙を流しながらのため呼吸が下手になり、そうながらも友達を守るために必死で阻止しようと声を振り絞った。

しかし、グレンは表情を一切変えずに

「昨日の夜言ったはずだ。昨日の事、友達の事は忘れた方がいいと。それにこいつら悪魔は人間の心臓を食うことで新たな悪魔を生み出す。このシェスカも悪魔に身体を乗っ取られただけだ。残念だがこいつは殺す。」

そして剣を振り下ろし、シェスカからは悪魔特有の黒い血しぶきが飛び散った。

それを見てミーナは狂ったように発狂し、その場に崩れ落ちた。

グレンは大剣をポケットのような空間にしまい込みミーナに近づくとしゃがんで彼女の頭をさすりながら彼女の目を見て言った。

「悪魔は残酷だ。人間の心臓を奪って殺し、殺した死体に新たな悪魔を誕生させて他の人間の心臓を奪うという負の連鎖を繰り返す生物だ。…まずはこの学校を殺された死体ごと燃やさなければならない。出るぞ。」

グレンはミーナの頭を触りながら転移魔法で外に移動した。

外に転移したグレンとミーナは学校の入り口の前まで移動した。

グレンはミーナに側から離れろと言うとミーナはグレンから20メートルくらいまで離れ、離れたのを確認すると両手を入り口前の地面に置いた。

「ー黒炎よ、負の魂を焼き払えー」

グレンが魔法を唱えると学校を囲むような黒い魔法陣が発動し、学校の校舎は黒炎によって黒く燃え始めた。

その黒炎は普通の炎と違い、辺りに燃え広がることはなくその校舎の位置だけを燃やしていく。

「ギャァァァァ…」

殺された人間の何人かは悪魔になって復活したが、学校ごと燃やしたため中で悪魔の声らしきものが聞こえてきた。

グレンが学校を燃やしたのは一見残酷だが殺された人間が悪魔になって他の人たちを襲わせないためである。

燃えていく学校を見ながらグレンはミーナに言った。

「お前はこれを見て辛いか?」

「…辛い…でも、仕方ないよね。もし学校を燃やさなければ大量の悪魔ができちゃうもんね…」

「その通りだ。辛いと思うが今起きたこの現実を決して忘れるな。」

「…うん。」

ミーナの精神状態はもうまともで入れる状態ではなくグレンの言ってることをぼーっとしながら聞き流すようにコクっと頷いた。

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    そして次の日の朝。グロードとアガレフは月の遺跡へ向かう準備をしており、王宮の外には2人を見送る為に沢山の国民達が集まっていた。2人はリオ王国内では沢山の任務を受けていたが、国外に出て何かをするのは初めてであった。更にリオ王国内では英雄の様な存在である2人は皆んなの憧れであり、国民達全員から愛される存在であった。「グロード様!アガレフ様!お気を付けて!」「ああ。行って来る。」王宮の兵士に言われたグロードとアガレフは一礼し、王宮を出た。王宮を出た途端、国民達による大きな歓声が飛び交った。「お二人共ー!どうか無事に帰って下さい!」「月の遺跡の化け物なんかに負けないで!」「グロード様とアガレフ様が組めば敵なんて居ないさ!」「そうさ!何たってリオ王国最強の魔導士だぜ!化け物なんて全部倒してくれる筈さ!」「頑張れー!!」向けられる歓声に対し、それに応える様に2人は国民達に手を挙げて振った。リオ3世とベリエルはその場に居なかったが、王宮のベランダから2人が歩いて出て行く姿を見ていた。「ベリエル。お前もいつかきっとあいつらみたいになれる筈だ。」「…はい。僕も兄さん達に追いつける様に努力します。」リオ3世は2人の姿を見つめながらベリエルに向けてそう言った。ベリエルはそれに対し表情を変える事なく、リオ3世と同じ様に2人を見つめながらそう答えた。何を思っているのか分からない程、表情が全然変化しないベリエル。グロード達と暮らしていく内に嬉しかった時の表情だけは作れる様になったベリエル。だが、大きくなってもそれ以外の感情による表情は作れない様だった。その表情の裏に潜む感情を読み取る事は誰にも出来なかった。数週間後、グロードとアガレフはようやく月の遺跡の近くに着いた。月の遺跡の周りは乾燥地帯である。現在はティラーデザートと呼ばれる砂漠地帯となっているが、それでも当時は所々に草木が生えていた。しかし月の遺跡に近づけば近づく程、乾燥が酷く草木もあまり生えていなかった。そしてようやく月の遺跡には着いた。月の形をした石像が上に飾られた神殿が遺跡の中央に建てられ、その周りには[月の民]と呼ばれる民族が住む石造の家が多数建てられている。化け物が居ると聞いていた為、酷く荒らされているイメージを持っていた2人であるが、見た感じその様な形跡は見られない

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第38話 グロード・リオ・イシス

    今から400年ほど昔、一人の王がいた。その王は人々に知識、魔法、武術。その全てを国民に広めていき、その中でも魔法の知識量はこの世で一番だった。王には3人の弟子がいました。その内の1人、1番弟子のグロードは無口であるが根は優しく、王の次に強大な魔力を持っていた王国最強の魔導師。そう。これはグロード・リオ・イシスという男の物語。彼は400年前の人間であるが現在も変わらず生き続けていた。その400年前の話である。400年以上前。ここは現在でいう神の遺跡と呼ばれる場所。当時はまだ4大国が建国されておらず、世界ではこの神の遺跡が1番栄えていた。神の遺跡。またの名を[リオ王国]と呼ぶ。[リオ]とは神の遺跡で祀られていた森羅万象を司る神の名であり、この世界を創造した創世神とも呼ばれている。そしてこの国の国民はこの世界の創造によって生まれ落ち、リオが眠る大地で暮らす事を許された一族。[リオの一族]とそう呼ばれていた。リオの一族は神が眠る大地に住める事への感謝を表す為、国民全員が自分のファーストネームとラストネームの間に[リオ]の名を入れていたのだった。そんなリオ王国の国王であるリオ3世。ソルロ・リオ・リュミエール。彼はこの世で初めて魔法を使えた人物であった。現在では当たり前の様に生活の中に魔法が介在しているが、この時の魔法というのは空想上のおとぎ話と同等の存在であった。しかし、リオ3世は人には魔法を使う為の魔力が先天的に備わっているという事を見つけ出した天才であった。それからリオ3世はリオ王国の生活を豊かにする為、色んな人が魔法を使える様に国中に広めていった。だが、魔法を使う為の魔力量には個人差があり、誰しもが魔力量の多かったリオ3世と同じ様には出来ずあまり生活の豊かさには直結しなかった。長年の課題であったが、それを解決に導いた人が 居た。グロード・リオ・イシスである。彼は当時10歳であったが、既にこのリオ王国の中でリオ3世に次ぐ魔法天才児であった。赤髪に優しい顔立ちのグロードはとても物静かでいつも机で魔法学の本を広げている子であった。無口であるが実直で真面目な性格の彼は生まれつき強大な魔力を保有しており、それに気付いたリオ3世から養子の誘いを受けた。元々の家族は居たのだが、6歳の頃家が貧しかったグロードは家の負担を減らす為とリオ

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第37話 繋がり④

    「グアッ!何だ…この打撃は…身体が、動かない。」 竜挐(りゅうだ)を喰らったウィリディスは身体が燃えていき、何故か分からないが身体が硬直した様な感覚に陥った。 心眼点睛によって相手の弱点を見極め、そこから技之乖離(ぎのかいり)による威力強化。 更にそれらの効果を更に向上させる戮力体竜変(りくりょくたいりゅうへん)。 それらを併せた一点集中型の竜挐(りゅうだ)による攻撃は、相手に流れる魔力の"歪み"を的確に見つけ当てる事が出来る。 身体に流れる魔力の"歪み"とはその人の弱点となりうる急所の部分。 その急所の部分に強い外力が加わる事で魔力の流れは緩やかに停止していく。 ーー魔力の流れは生命の流れ。 ドグマが20体の悪魔を殴っただけで生命活動を停止させたのも同じ原理。 龍技を極めし者は全ての流れを理解し、それら全てを制する者でもあった。 「くそ!…身体が…それに、意識がどんどん…と…。」 魔力の歪みに竜挐(りゅうだ)を喰らったウィリディスは魔力の流れが弱まり、意識が朦朧としていた。 そしてウィリディスの動きは緩やかになっていき、意識が遠のくと全身の力が抜ける。 立ったまま肩が落ち上半身が前へと傾き俯いた。 この時点でウィリディスは戦闘不能に陥った…様に見えた。 ドォォォオオ!!! ウィリディスの全身から掌に溜めた時と同じ様な黒い魔力が溢れ出す。 「……ククク。やっとだ。やっとこのガキから解放されたぜ。」 前に俯きながらウィリディスは口を開いたが、声質とその喋り方はまるで別人の様であった。 そして顔を上げると先程とは違い、歯を剥き出しにした野生的な表情でグレンを見ていた。 「ありがとよ、悪魔祓いのガキ。このウィリディスにダメージを与えてくれて。お陰でこの身体は俺の物になったぜ。」 「何だと?…もしかして、あいつの中に居る悪魔…おい、リフェル。あいつはどんな悪魔だ?」 すぐにウィリディスの中に居る悪魔だと察したグレンは、自分の中に居る悪魔であるリフェルに確認をする為に声を掛けた。 (ああ。奴は悪魔だな。だが、今までの悪魔や獄魔とは違う性質の悪魔って感じがするな。) (俺がお前の身体を乗っ取る時と同じ。いや、あいつは完全にあのウィリディスって奴の身体の主導権を握ってやがる!) 悪

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第33話 不変の愛②

    するとベルゼバブが出てきた方とは逆の奥の方から別の足音が聞こえてくる。あの時は魔法が使えなかったから分からなかったけど、ただならぬ魔力を感じる。しかし、悪魔の様な不気味な魔力では無い。温かみのある優しい光の様な魔力。その魔力を持った人…人では無いが、ミーナとベルゼバブが居る方へ歩いてきた。「久しいのう。ミーナ。」その姿は以前ミーナと精神世界で対面した時に見せた、ミーナと全く同じ姿の状態のエル(ミカエル)が暗闇から現れた。「あなたはエル…」「な、何で!?何で君が居るの?大天使・ミカエル!」ベルゼバブはミーナの姿をしたミカエルを見て驚きを隠せなかった。普段無邪気に相手を挑発し

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第33話 不変の愛

    ミーナ達3人が戦っていたその頃。東の大国で元八握剣(やつかのつるぎ)であったギンジはミーナの母であるリーナを連れながら、他にも生き残ってるであろうクレーアタウンの市民を探していた。生き残っていた市民は結構居た為、全員助けに来てくれたギンジの後ろをゾロゾロと歩いて着いて行く。そんな中で思わぬ人物に出会った。その人はギンジにとってあまり会いたく無い人物。「ギンジ!お前、こっちに来てたのか!?」の太く低い声の主である彼の名前はゴウシ。八握剣(やつかのつるぎ)の土刃(どじん)と呼ばれる男である。見た目年齢が30代後半は過ぎてるであろうゴウシは、ベリーショートの茶髪に整えられた茶髭。八

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第32話 覚悟②

    その頃。エミルとミーナはアスモディウス、操られた死者。そして悪魔となって現れたカレンを相手にしていた。すると遠くで砂の巨人兵が崩れていくのが見えるのが見えた。「え?あの悪魔祓いやられちゃったの?ちょっと待って、全然使えなかったじゃん!最悪!」一瞬でやられた悪魔祓いのアクィールスに対してキレるアスモディウス。「ー広がる水龍の陣。陣に入りし者を切り刻まんとする!」すると今度はエミルが水色の魔法陣を直径100mの広さに展開した。その陣に入っている敵と入ろうとしている敵に対して水の刃が飛び交った。水の刃は多数の死者の肉体を切り刻み、戦闘不能になる程のダメージを与える。しかし、この魔法

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第31話 母の想い②

    その頃、カイルとエミルは別々の場所で悪魔の大群を相手にしていた。カイルは目の前から襲ってくる悪魔を見た。「目の前にはおよそ100体か。いや、この周囲の魔力を探ればそれ以上…」「面倒だ。纏めて一気にぶった斬る!」カイルは自身の影を直径10kmの範囲まで広げた。この3日間、魔力の流れを読む訓練をしていた為か、カイルの魔力操作の練度はかなり向上している。本来10kmまで影を広げてしまうと剣を振るっても影の端に居る敵に与えられる威力はかなり落ちてしまう。しかし魔力の流れを読める様になった今、カイルは見なくても相手の位置は勿論、身体の部位が隅々まで分かるレベルまで察知出来る様になっていた

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